上杉周作氏の慶応湘南キャンパスでの講演「もしデザイナー2ヶ月半の若者がデザインの話をしたら」

7/8 慶応大学湘南キャンパスで上杉周作氏の講演があった。
昼ごはんを食べながらTwitterを見ていたら講演の話がTLに流れていて、「これは行かねば」と仕事を放り出し小田急線に乗り、湘南キャンパスへと向かった。
15時。既に講演は始まっていた。
Ω11教室


壇上には上杉氏。聞いているのは200人くらいいただろうか?
若い人達が話を聞き入っている。中にはサラリーマン風の人もいるが
圧倒的に学生。

今回の主題はデザイン
上杉氏はカーネギーメロン大学(CMU)のコンピュータサイエンスが専攻
ツイッターを見ていてもプログラマーとしての資質が伺える。
でも何故デザインの話をするのか?
ツイッターのタイムライン上(#moshideza)にアップされたつぶやきを見ながら考えてみる



@shun0102
RailsiOSによって製品開発のサイクルが早くなっているので、技術もできてスタートアップを理解しているデザイナが必要となっている

@karim26
需要は高まっているが、供給がまだまだ。デザイナを排出する大学で技術もできる大学が少ないので、即戦力となるデザイナがなかなか生まれない

@karim26
デザインの技術がわかる人はほとんどいない。そこで差別化をはかることができる。新しい分野なので、今から初めてもまだ間に合う。

@iHayato
海外では英語、IT、ファイナンスできるのは当たり前。でもデザインと技術が分かる人はほとんどいない。それが分かれば自分を差別化できる。今から初めても全然間に合う。




コンピュータサイエンスをやって、技術の裏側が分かったとき、サービスは技術ではなくユーザといかにコミュニケーションし、ユーザの意思をサービス側へ伝え、その答えをフィードバックするのか?というユーザインタフェースが大切ではないのか?と考えたのではないだろうか?その目的を達成するために一番必要な手段がデザインなのではないか?




@karim26
自分が時間をかけて決めることで、初対面の人が自分にあった時に性格とかを考える必要がない。自分が時間をかけることで、相手が考えなくて良くなる。それがファッションだと思った

@jugglersenjyu
デザイナーは"エンジニアがつくったものをキレイにする人"ではない。ビジネスマンやエンジニアが解けない問題を解く人。

@iHayato
デザインは誰かから好かれるものを創るのではない。「デザインは誰からも見えない決まりを創ること」

@klee_arc
mac osの例】250個の機能を作るのがエンジニア、売り込むのがビジネスマン、沢山増え続けていく機能を多いと感じさせないのがデザイナーの仕事

@karim26
シリコンバレーにとってのデザインは、問題を解く手伝いをすることで、誰かに好かれるものを作ることではなく見えない決まりを作ること。見えない決まりによって、複雑なものを複雑に見せない




このあたりからデザインの定義が入る
「ユーザーに考えさせない為に、デザイナーは誰からも見えない決まりを作る
macwindowsのメニューを例に上げて
macのメニューは常にスクリーンの一番上にある。これに対しwindowsはwindowのタイトルバーにある。windowsのようにタイトルバーがwindowの上部にあると、カーソルがwindowを飛び抜けてしまうが、スクリーンの最上部にあると、それを飛び抜けることはない。ユーザの代わりにデザイナーが使いやすさを提供している

macの検索窓は全部ボックスの角がラウンドしている。これによってユーザはひと目でこれが検索であるということを理解できる。

これらはデザイナーが見えない決まりを作って、ユーザに提供している
そこはデザイナーが時間をかけて自分(サービス)を知ってもらうということ




@klee_arc
Product Designは情報をデザインするグラフィックデザインの反対であったが、モノではなくコトをデザインするのが最近のProduct Design




たしかにアテンションを重視したグラフィックデザインはWebなどに氾濫し、いかに目立つか?を重視していた。サービスにとって大切なのはアテンションではなくユーザとのコミュニケーションであり、いかにユーザに分かりやすくするか?というのがプロダクトデザインなのかも。




@shun0102
デザインは見た目より目的を達成できるか。プロダクトデザインは機能にデザインをつけるのではなく、目的をから「見えない決まり」を作り、最後に機能を作る




プロダクトデザインでは
1.ビジョンを描く
2.目的を決める
3.デザイン(見えない決まりを作る)
4.機能を決める
5.ユーザの意見を聞く
6.3(デザイン)へ戻る
この時、5からのフィードバックは3のデザインへ戻る
フィードバックがビジョン、目的へ戻らないので、最初のコンセプトがぶれない




@tsutusmikan
【上杉さん講演】同じ質問がいっぱいあったらユーザーが探す際にめんどくさい。だから、「質問を作成する」バーに「質問を検索する」機能をつけた。すべては「同じ質問を二つ作らない」という『目的』のため




quoraは質問に対して答えを出すというのがサービス
ここで大きな目的として、自分の知りたい質問をより探しやすく、そしてその答えを探しやすくするということ。そのためには同じような質問がいくつもあってはならない。
そのためにquoraでは、質問を受けるボックスと回答を求める検索窓を一つにした。
それにより、同じ質問を探しながら、なければ質問するという2つのアクションを一つにまとめ、質問の重複を排除している。これがquoraのプロダクトデザイン。




@tsutsumikan
【上杉さん講演】ビジョンから始めれば、いらない機能をつけることもなくなる。ユーザー先行、ではなく、作り手(自分のビジョン)先行。スティーブ・ジョブズのように。自分のビジョンをぶらさないように

@tsutsumikan
【上杉さん講演】シリコンバレーでは、人を面接するときは「知識を聞かない」というのが暗黙の了解になっている。簡単な問題を解かせる。これがショートカットさせないやり方。日本の就活とは大違い。




今日の講演で耳に残ったのは「ショートカット」という言葉
その場しのぎといったニュアンスか?実際に時間をかけて取り組む姿勢というのが大切という事と、結論だけを求めるという試験、判断への批判もあるのかも。
最後の方で、10,000時間かけると物事をマスターできるという話をする。
その時、5,000時間クリアできると達成できるという。
その時、一日7時間を3日やって振り返り、9日やってふりかえり、
3,9,27,81,243,729と3の倍数で振り返りながらマスターすることが大切という
729x7=5,000時間となる。
ここにショートカットはない。時間をかけて物事に取り組み、それによって現場(仕事)でより早く解を出すというのが彼なりのショートカット論ではないだろうか?




@ishidaian
1日7時間何かに没頭できる人は素晴らしい。持っていない人は、「夢とかやりたいこと」っていうのは、どっかの場所に落ちている。wondershakeの鈴木さんは、アメリカで夕陽を見ながらアイデアを思いついた。確かに、僕もバングラデシュで思いついた!!




最後に直接彼に質問をぶつけてみた。
「デザイナーはどうやってみつければいいですか?」

彼は考えることもなく
「自分がデザインの勉強をして、デザイナーの気持ちを理解することが重要」
自分で見えない決まりを作り、ビジョン・目的を考え、機能を減らし、ユーザのフィードバックをデザインにフィードバックする。これらをあなたが勉強すればよい。
多分、自分がデザイナーになるということではなく、サービスで一番重要な部分を自分で勉強し理解することが重要ということだと思う。
アメリカの古典的なデザインの本を紹介されたが、後ほど教えてくれるらしい。